波打ち際にて


もう秋が近い夜の海岸

多少のうねりが入ってくるのか かなり大きな波がざざーっと砂浜に打ち寄せてくる。
黒々としたぶきみな波のあたまの一部が白く光り、その白い光がたちまち横に広がり波頭の
泡立ちとなって砂浜に押し寄せてくる。
その波の来るはるか沖合いに ぽつんぽつんとイカ釣漁船の集魚灯の光が白く輝く。
こうして砂浜でゆっくり波の音を聞くのはほんとうにひさしぶり。

今年は忙しくって海にもいけず 夏らしいことも何もできなかった。
でも、ま、こうして今日は三国の砂浜で波の音を聞きながら さり行く夏のなごりの すこし熱の
残っている砂浜でも、涼しくなった海風にあたりながらゆっくりと物思いにふけることができたのは
なによりだ。

今日は、先日完成した底引漁船「長栄丸」に若干の不具合があるとのことでここ福井県三国町に
きて、試験操業から帰ってきた長栄丸を迎えた。
ま、不具合はたいしたことなくすぐに解決して、船長から「今日は15mくらい吹いたけど むこうづき
でも船首はたたかず、ローリングもせずに乗り前がいいといわれた。  
「船は波の中で乗り前がいいのがいちばん。」といわれたので非常に気分よく「ほんとによかった
なあ。」と満足感にひたることができた。

沖合に光るイカ釣漁船の集魚灯。ここで詩的な人だと「いさりび」っていうんだろうけど・・・。
風向きによって船の角度が変わるのだろう、あかりは大きくなったり小さくなったり変化する。
そして、沖からの風に乗って「どどどど」ってディーゼルエンジンの音がかすかに聞こえてくる。

あれだけの明るい灯をともすためにエンジンはフル運転しているんだろうなあ。
この音からすると1200回転まわしているな・・・なんてまったく詩的でないことを考えながら砂浜を
離れ、旅館の下駄の音をカランコロンさせながら、ふだんはビジネスホテルに泊まるけど・・・
今日の宿、温泉つきの旅館にもどる。 

こんなふうに温泉〜新鮮な魚〜海岸の砂浜でいい気持になる、というのは満足感といっしょだと
最高だなあ! なんてみょうに年よりくさいことを考えてみたりしている。

 

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